イカロス

 少年は良い友人をたくさん持っていた。その友人達は時に少年を助け、励ましてくれるこの上ない最高の友人達であり、少年にとっての宝物であった。
 
少年はまた空に憧れを持っていた。

そこで少年は自らの背に翼を着けた。少年は大空を飛ぶ力を手に入れた。

しかし、そんな少年の異形の姿は友人達には受け入れられなかった。今のあなたは私達の知っているあなたではないと1人、また1人と少年の元を去っていった。少年は元に戻ろうと翼をもごうとした。しかし翼は既に少年の一部と化し少年の身体は元に戻ることはなかった。

友人を失った少年は今もたった1人で空を飛び続けている。それは翼をもがれる以上の悲しみであった。