『変身』

私は醜い怪物だ。
怪物として産まれ、怪物としての人生を生きてきた。周りには人間の友人はいたがその醜さから迫害を受けることも多々あった。
そんな生活を送り私は高校生になっていた。高校になって少し経ち、周りに馴染んだ頃私は違和感に気づいた。高校生になって以来、迫害を受けていないのである。不思議に思った私は恐る恐る鏡を見るとそこに醜い怪物ではなく普通の人間の姿が映っていた。
それからの3年間は夢のようだった。迫害を受けることもなく、本当の意味で人生を謳歌していた。怪物としてではなく人間として人間とつながることができていた。
時は過ぎ私は大学へと進学した。しかし、高校時代のように人間とは馴染めなかった。それでも私はこういうこともあるだろうと考えていた。
大学生活を2年半ほど続けたある日、私は高校時代の友人に出会った。私はその人間に恋をした。私はその人間に想いを伝えた。しかし、その想いは好きな人がいるという一言で散ってしまった。
悲しみに暮れた私は数年ぶりに鏡を覗いた。そこに映っていたのは人間の姿ではなく、醜い怪物の姿だった。